今回の記事は将棋の「名人戦第3局を10倍楽しむ」をテーマに、楽しむための見どころを徹底解説します。
藤井聡太竜王が勝てば最年少名人＆最年少七冠の記録更新に向けて、王手をかける事になる第3局。
3勝0敗となるとストレート勝ちにも王手をかけることになり、将棋ファン以外からも注目される状況となるでしょう。
渡辺明名人はここまで藤井聡太竜王との直接対決で3勝18敗と大きく負け越しています。
藤井竜王とのタイトル戦で2勝目をあげたことがなく、防衛できるかどうか、の前に
まずは1勝をつかみ取ることが最優先課題でしょう。
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第3局に向けて、第1局と第2局の評価値グラフを見ながら簡単に振り返ります。
【第1局のAI評価値】（第1局は渡辺名人が先手／藤井竜王が後手）
注目の振り駒は渡辺明名人が先手に。戦型は角換わりに進むかと思われましたが、
渡辺名人が角道を止めて角換わりを拒否する展開になりました。
王将戦で羽生善治九段が様々な戦型で藤井竜王の得意な形に持ち込ませないようにしていたので、それを参考にしたのかもしれません。
評価値推移を見るとわかるように、藤井聡太竜王が完勝と言える結果でした。
後手番ながら積極的に仕掛けた藤井竜王が少しずつリードを広げていきます。
終始、藤井竜王が慎重に指し回しているのが印象的で、「決して無理をせず、少しずつ安全を確保しながら相手を仕留めていく」
という戦い方でした。今までにない、かなり慎重な戦い方で「新たな藤井聡太」を魅せてくれたような会心の勝利でした。
【第2局のAI評価値】（第2局は藤井竜王が先手／渡辺名人が後手）
渡辺名人としては先手番を落とした後の対局なので、第2局は絶対に勝ちたい1局でした。
第1局に続いて渡辺名人が角筋を止めて角換わりを拒否。
途中、藤井竜王が「仕掛けるのか？」と思われる局面で踏み止まり、評価値が渡辺名人に振れます。
※60％程度でした。
その後、藤井竜王が粘りに粘って五分に戻す展開に。
五分五分の状態が長く続き、2日目の夕方まで互角の状況が続く大接戦に。
そして、勝敗を分けた局面が訪れます。
対局後、渡辺名人が「中盤でポッキリ折れてしまった」と話していた局面が、藤井竜王が勝負を決めた強烈な一手がこちら。
※名人戦・主催：朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟
渡辺明名人渾身の飛車角両取りの一手を無視し、藤井竜王は2六桂馬と2筋に桂馬を打ち込みました。
しかし、評価値を見るとその一手はそれほど高評価ではありませんでした。
AI将棋ソフトでも最初の数分は―215とマイナス評価で、評価値は渡辺名人側に振れます。
その後、検討を数分延長していると徐々に評価が上昇。
最終的には＋144と当初の―215から考えると359もの差が出ています。
将棋AIでも（通常であれば十分な時間である）数分の検討では理解する事ができなかった状況で、
まさしくAI超えの一手でした。
（渡辺名人がツイッターで「心が折れてしまった」と話していた一手）
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序盤の戦術を観ている限り、渡辺名人が相当深い研究をしてきている事がわかります。
それは「何としても藤井竜王に勝ちたい」という気持ちの表れではないでしょうか。
2人の直接対決は18勝3敗と藤井竜王が大きく勝ち越していますが、ほとんどが接戦でした。
藤井竜王にも余裕があるわけではなく、追い込まれて時間がなくなれば
棋王戦第3局のように詰みを逃してしまう場面もあります。
名人戦第3局は渡辺名人が先手。渡辺名人は何としても勝っておきたい一局になります。
第4局は藤井竜王が先手。この1年で勝率9割近い勝率を誇る驚異の先手番となり、
いくら渡辺名人が「藤井竜王相手の3勝が全て後手番」と言っても、苦しいのは確か。
第3局を落とすとストレート負けが見えてくるため、何としても第3局で1勝をあげておきたい。
名人戦第3局で注目されるのは、まず戦型選択です。
第1局・第2局ともに藤井竜王が得意とする角換わりを避けました。
三度、角筋を止めて角換わりを拒否するかどうか。
第1局よりも第2局の方が終盤まで競った勝負だった為、1勝まで後少しの所まで来ているのは確かです。
対策としては間違えていなかったと思いますので、渡辺名人がもう一度自分を信じて力勝負に持ち込めるかどうか。
最初の数手で渡辺名人の方針がわかるので、まずは初手から30分程度が注目です。
藤井竜王が勝って最年少名人の記録＆ストレート勝ちに王手となるか。
渡辺名人が勝って巻き返すか。
注目の名人戦第3局の対局日程は5月13日・14日です。
※速報！
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