AI超えの定義とは?将棋AIソフトと観る将の関係性について思うこと

AI超えの定義とは?AI将棋ソフトについて思うこと その他
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観る将・初心者向け・・・と限定するわけではないのですが、「AI超え」について日頃感じていることを書きたいと思います。
先日の叡王戦第4局で藤井聡太叡王が見つけた詰み筋について、「AI超え」「神の一手」と注目されました。
その理由としては以下の2つが挙げられます。
「ABEMA中継のAIが詰みを見つけていなかったこと」(先に藤井聡太叡王が詰みを発見していた)
「著名なAI将棋ソフトで詰みを見つけるのにかなり時間がかかること」
人間である藤井叡王は残り数分の状況で読み切っていた事もあり、「AI超え」という表現が多く使われました。

私なりの「AI超え」定義としては・・・(記事でこの表現を使う場合の基準)
(1)将棋AIソフトの評価値が低かった手が、長い時間かけて検討させたら良い評価に変わった場合。
(2)AI候補手上位に入っていなかった手が指された場合で、その手の評価値が良かった場合。
基本的にはこのような判断基準で考えています。
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AI将棋ソフトの開発者の方や一部のプロ棋士の方には、「〇〇系のAIなら詰みを見つけている」
「このソフトなら一瞬で詰みを見つけていますよ」と、意見が出ていました。
当事者の方達はそういう意図はなかったかもしれませんが、観る将・初心者の方達から考えると
「否定的な意見」として受け止められてしまったのではないかと感じます。

AI将棋ソフトにも得手不得手があり、例えば私が利用させていただいている中の
1つのソフトで10分探しても見つからなかった詰みが、詰将棋用のエンジンを入れたところ一瞬で詰みを発見しました。
(CPUは性能重視で選んだIntelのCore i7-1065G7)
だからと言って「やはりAIの方が上」という話ではありませんし、多くの将棋ファンの方も
「素晴らしい一手を喜びたい・楽しみたい」という気持ちが強いでしょう。
「凄い一手だった」という表現として「AI超え」が使われていると思います。

観る将・初心者の方だけでなく、普段将棋に触れない一般の方にとってAI将棋ソフトの細かな違いはわかりません。
「AI=すごく強い」ぐらいの印象の方が多いでしょう。
そういった感覚で観ている将棋ファンの方にとって、「ABEMAの将棋中継で詰みが分かっていなかった」
「自分で使っている将棋ソフトで詰みが見つからなかった」という事実だけで十分なんです。
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だから、(個人的な意見になりますが)多くの方が考えるAI超えの定義はかなり漠然としたもので、
「数百万人の方が観戦するABEMA中継のAI」が1つの基準になっていると言っていいでしょう。
私であれば、水匠などのAI将棋ソフト(詰将棋用ではなく、ノーマル仕様)で探すのに時間が掛かった場合や、
「短い考慮時間だと低評価」⇒「数分考えたら高評価になった」というような状況があれば、
AI超えという表現を使うようにしています。

通常で考えれば、将棋AIの最も得意とするところは詰将棋や読みの速度だと思います。
序盤・中盤は様々な選択肢がある事や、長い手数を読まなくてはいけないため、形勢判断をするのに時間が掛かる。
詰将棋のような終盤の場合は手が限られているので選択肢が少ない。
そうなると、人間がAI/コンピューターに計算スピードで勝つのは困難(実質不可能)です。

そういった前提がある中で、「(詰将棋用ではありませんが)多くの方が判断材料に使っているABEMA中継の
AIで見つけられていなかった詰みを、藤井聡太六冠が短い時間で読み切っていた」という事実があれば
将棋ファンにとっては十分なんです。
「困難なことを実現している凄い人」というイメージで、二刀流で有名な野球の大谷翔平選手と似たようなイメージを
持っている方も多いのではないでしょうか。

そういった意味では、AIの進化が極限まで進んでしまった場合、そういった「AI超え」という場面が
観られなくなってしまうかもしれません。
ただ、AI開発の進化も進んでおり、視聴者目線で「こういった情報があると理解しやすくなるだろう」と、
将棋AIソフトの開発者の方達も色々と新しいアイデアが考えてくれています。
近い将来、「AI超え」とは少し違った新しい楽しみ方・表現が生まれるかもしれませんね。

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