竜王戦第4局は藤井竜王が逆転勝ちでストレート防衛!
封じ手時点では伊藤匠七段が優勢でしたが、2日目は藤井竜王が逆転。
4連勝で防衛を決めたAI超えの一手を解説します。
第36期竜王戦第4局:11月10日、11日
主催: 読売新聞社、日本将棋連盟
【AI評価値・形勢判断解説】(先手)藤井聡太竜王vs(後手)伊藤匠七段
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第4局は藤井聡太竜王が得意とする角換わりでスタート。
1日目は伊藤匠七段の研究が功を奏し、一歩リードした状態で封じ手に。
しかし、2日目は早い段階から藤井竜王が巻き返し、追いつき・逆転に繋げました。
【封じ手後の展開は?】
1日目、藤井竜王の飛車切りが衝撃的でしたが、伊藤匠七段の封じ手はAI最善手でリードを守ります。
封じ手直後は伊藤匠七段がリードしていましたが、その後すぐに藤井竜王が追いつきます。
その後、評価値としては互角の状態がしばらく続きますが、人間の目でみると
「伊藤七段の攻めが厳しいのでは?」と感じました。
藤井竜王の玉頭を攻めている状況で、横からも飛車を打ち込まれて逃げ場があまりないように見えます。
しかし、AIとしては互角の判定だったので、「速度勝負になった時に、先手側が負けていない」という判断だったのでしょう。
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【勝敗を分けた「金底の歩」】
将棋界の格言として有名な「金底の歩、岩より堅し」。これを体現する一手が勝敗を分けました。
その時のAI評価値がこちらです。
手持ちのAI将棋ソフトが「先手(藤井竜王)有利」と判断した局面で、
ここで「人間の目で見ても、後手(伊藤匠七段)の攻めが厳しくなった」と感じました。
ここからは逆転されることなく、最後までリードを守り勝利。
最後は30手以上の詰将棋。解説者泣かせの展開で仕留め、防衛を決めました。
(勝率が凄いことになっていますね・・・。タイトル戦ばかりなのに、年間最高勝率を更新してしまいそうな勢いです)
AI評価値としても、指した直後は+50から-50ぐらいを行き来しており、互角という判定でした。
しかし、数分間検討していると+100・・・+200・・・+300と4筋に打った「金底の歩」の評価が上がっていきます。
※+300が「有利」と判定される境目
この、AIがすぐに正しい評価をできなかった一手は、「AI超えの一手」と言っていいのではないでしょうか。
アマチュア四段の私としても指したくなる一手で、想像を超えるような一手ではないかもしれませんが、
時間をかけて読む程、評価が上がっていく一手だったのは確かです。
これで藤井竜王は4連勝。八冠制覇後、初のタイトル防衛です。
年間勝率も8割を大きく超えており、年間最高勝率が狙えるペース。
タイトル戦の対局ばかりの状況でこの勝率は、驚異的。
藤井竜王・名人のタイトル戦連勝記録を止めるのは一体誰になるのか。
※今回の防衛で、大山康晴十五世名人の大記録(タイトル戦19連勝)に並びました。
2024年の王将戦で防衛すれば、新記録です。