王座戦第1局は藤井聡太王座が圧倒的な強さを見せ先勝。
将棋AIソフトによって評価値が大きく変わるようなAI超えの一手で、永瀬王座を寄せ付けず完勝でした。
72期:王座戦第1局:9月4日(水)
主催: 日本経済新聞社、日本将棋連盟
【AI評価値・形勢判断解説】(先手)永瀬拓矢王座vs(後手)藤井聡太竜王・名人
永瀬九段先手で始まり、角換わりに誘導。受けて立つ藤井王座。
序盤から互角の状況が長く続き、深い研究を伺わせる展開で中盤から終盤まで熱戦が続きます。
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【勝敗を分けた局面】
王座戦第1局では藤井王座の印象的な手が何度かありました。
1つに絞れなかったので、2つ紹介します。
1つめはこちら。
2四金と歩を払った局面です。(永瀬九段が2五桂と跳ねた直後の一手)
この局面ではいくつか候補がありますが、2四金と歩を取ることで永瀬九段の猛攻に合う可能性があります。
桂馬を捨てる→香車&飛車の連撃が見えていますし、歩も豊富にあるので怖い一手でした。
AI評価値も「-1345・後手勝勢」と高評価。
そしてもう1つ。こちらは「一番驚いた一手」でAI超えの一手。印象深い一手を見ることができました。
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先程の局面から永瀬王座が1三桂と成り捨てて攻めに出ました。
そこで藤井王座は6八角打と、角を打ち込む一手を見せます。
AI最善手は6四歩と銀を取る一手でした。(または4二玉と「王の早逃げ」で安全を確保する一手が候補手)
6八角打は候補手には出ていたのですが、3~4番手ぐらいで最善手ではありませんでした。
AI評価値も使うソフトによって大きく判断が分かれた一手で、ABEMA中継では評価値を下げていました。
水匠やHaoで試したのですが、ある程度の時間読み込ませるとこの一手が最善手としてAIも高評価に!
永瀬九段もこの一手を見た場面で驚いた表情を見せており、予想外の一手だったことが伝わってきました。
AIも永瀬九段も驚かせた藤井王座の強烈な攻め。
以前とは違う強さを見せてくれているように思えます。
永瀬九段はインタビューで「精神面を鍛えてきた」と回答していましたが、その永瀬九段を驚かせる一手となりました。
これで「勝負あった」という雰囲気が画面からも伝わってきて、藤井聡太王座も表情は落ち着いていたように感じます。
後手番での勝利で幸先の良いスタートとなった藤井王座。初防衛に向けて大きな1勝です。