名人戦第2局で渡辺名人の心が折れた瞬間-勝負を決めた藤井竜王のAI超えの一手

名人戦第2局の勝負を決めた藤井聡太竜王のAI超えの一手 名人戦
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将棋の名人戦第2局、藤井聡太竜王が渡辺名人に勝って2勝0敗。
最年少名人位獲得に向けて一歩前進しました。
今回の記事では、名人戦第2局で渡辺名人の心が折れた瞬間/勝負を決めた藤井竜王の一手を解説していきます。

【名人戦第2局】
名人戦・主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟

【第2局のAI評価値】(第2局は藤井竜王が先手/渡辺名人が後手)
名人戦第2局のAI評価値速報・形勢判断-藤井聡太竜王vs渡辺明名人
対局後、渡辺名人が「中盤でポッキリ折れてしまった」と話していた局面が、藤井竜王が勝負を決めた強烈な一手。
しかし、評価値を見るとその一手はそれほど高評価ではありませんでした。
結果的に、AI超えと言える一手を紹介していきます。
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こちらがその局面。渡辺明名人渾身の飛車角両取りの一手を無視し、2筋に桂馬を打ち込みました。
名人戦第2局の勝負を決めた藤井竜王の強烈な一手
この局面、解説のプロ棋士が推していたのが7筋に玉が寄る一手。
先手の藤井聡太竜王側の玉が両側から攻められる形になっており、片方を守る意味があります。
(そして、その反対側から距離を取る狙いもある)
また、成り香で5筋の銀がタダで取れる状態だったので、ここを狙っても良かったでしょう。
ただ、藤井聡太竜王は桂馬を打ち込んでいきました。
この一手でABEMA中継や各種将棋ソフトの評価値が揺れ動きます。
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こちらが、2筋に桂馬を打ち込む局面で、AI将棋ソフトに検討させた結果。
名人戦第2局の勝負を決めた藤井竜王の強烈な一手
上から2番目の―215が藤井竜王が選んだ一手。実はAI評価値としてはマイナス評価で大きく評価値を下げる一手でした。
通常の形勢判断として使うレベルの数秒~1分程度の読み込みなら、疑問手/悪手と判定されるような状況です。
複数のAI将棋エンジン(ソフト)を使って試しましたが、プラスになるものが少ない状況。
しかし、上記の評価値の後、追加で「検討時間を数分間延長」していると、
いつのまにか2筋に打ちこんだ桂馬の一手に対して評価値がプラスになりました。
その結果がこちらです。
名人戦第2局の勝負を決めた藤井竜王のAI超え一手
なんと、+144まで上がりました。当初の―215から考えると359もの差が出ています。
通常使う程度のAIレベルでは高い評価ができない一手で、まさしくAI超えの一手と言えるでしょう。
(渡辺名人が「心が折れてしまった」と話していた一手)
対局後、渡辺名人がツイッターで
「一番強い手で来られたので、もうダメにしてると思って、勝負所が残っていたことに気が付きませんでした。
最後まで闘うという当たり前のことができてなくて、すみません。」
と発信していました。
「現役トップクラスの名人をここまで追い込んでしまう一手」と考えると、かなりの破壊力があった好手だったと感じます。
(この一手を数分の考慮で指された事で、渡辺名人は「読み切られているのではないか」と
精神的なダメージを受けたのかもしれません)

今回の名人戦、渡辺明名人はあきらかに戦い方を変えてきています。
角換わりを避け、未知の世界に呼び込み今までの対藤井戦とは違う戦い方を見せています。
序盤で時間を使わせて、序盤・中盤を互角かそれ以上の状態をキープする。
ある程度、作戦通りに戦えていたと思いますが、結果的に敗れてしまいました。
今は「どうやっても勝てない」という心境になっているかもしれませんが、終盤まで互角の戦いが続いていました。
1勝できれば流れが変わる可能性もあるので、第3局以降の巻き返しが期待されています。

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