棋王戦第1局で勝敗を分けた局面-藤井竜王が渡辺棋王の研究を超えた一手

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棋王戦第1局藤井聡太竜王vs渡辺明棋王は藤井竜王が勝って1勝0敗。第2局は2週間後です。
第48期棋王戦コナミグループ杯
主催: 共同通信社、日本将棋連盟
※棋王戦第4局はこちら
棋王戦第4局のAI評価値速報・形勢判断-藤井聡太竜王vs渡辺明棋王

今回の記事では、初手から投了までの125手を見直し、勝敗を分けたポイントを解説していきます。
【初手からの流れ】
角換わりで進み、双方研究範囲内なのか午前中はハイスピード。65手ぐらいまで一気に進みました。
渡辺棋王は深い研究筋を見せていて、後手番ながら激しい攻めで先手の藤井竜王を攻め立て、
評価値としては互角ながらも勢いがありました。
持ち時間も最大1時間半ほどの差がつき、「藤井竜王対策として有力とされる、持ち時間で差をつける」
ところをクリア。
しかし、午前中最後から長考⇒午後一の指し手(桂馬同士のぶつかりを無視して、9筋への歩打)で渡辺棋王の手が止まります。
この1手、ABEMAのAI最善手は桂馬を獲る桂成りでしたが、水匠の最善手は藤井竜王が指した一手でした。
ここが最初の勝負の分かれ目でした。(恐らく、渡辺棋王の研究から外れた瞬間)
【AI評価値推移/形勢判断グラフ】
棋王戦第1局のAI評価値・形勢判断速報
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グラフを見るとわかりますが、その後から少しずつ藤井曲線を描き始めます。

そしてもう1つの勝負の分かれ目は中盤から終盤に差し掛かったところで藤井竜王が放った2筋への歩打ち。
実はこの1手、AI評価値としては下がりました。(五分になった)
恐らくAIは「手が遅い」と判断したのでしょう。
しかし、この歩が後で効いてくるんですよね。目立たない一手でしたが、「AIでは評価できなかったAI超えの一手」
と言えるのかもしれません。
(その後、香車を打ち歩に紐をつけ、先ほど打った歩を起点に渡辺棋王の玉に迫ります。
最終的にこの2筋に打った歩は「と金」になり、攻めの起点になった)
後は解説の方もお話されていましたが、終盤(100手前後)の桂馬の金取りを避けて
「下がるのではなく、上がった」金の活用。次に馬取りと更に金が上がったこの手で、
勝利をほぼ確定させたように見えました。

渡辺棋王も粘りましたが、藤井竜王は一度もリードを許すことなく完勝。
ハードスケジュールで「さすがの藤井五冠でもこの1週間で王将戦で羽生善治九段、
A級順位戦で永瀬王座、棋王戦で渡辺二冠と連戦」は厳しいのではないかと思いましたが、
強さを見せつけての先勝となりました。

藤井竜王の先手勝率を考えると、渡辺棋王は「先手番の第2局を勝たないと、ストレート負け」
という可能性が高くなるため、是が非でも勝ちたいでしょう。
第2局、渡辺棋王にとっては背水の陣で挑む1局になりそうです。

【2人の直接対決成績】
藤井聡太竜王の13勝2敗
※タイトル戦に限定すると藤井竜王の12勝1敗

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