王将戦第5局は藤井聡太王将が勝利で防衛に王手!勝敗を分けた勝負手の桂跳ね

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王将戦第5局(藤井王将vs羽生九段)は藤井聡太王将が勝利しました。
これで3勝2敗で防衛に王手!
今回の記事では「勝敗を分けた勝負手」を解説していきます。
【ALSOK杯王将戦】主催:毎日新聞、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟
第5局は先手:藤井聡太王将、後手:羽生善治九段
※ここまで5局全て先手番が勝利している。

【王将戦第5局/AI評価値・形勢判断】
初日は藤井王将/羽生九段の両方に振れるタイミングがありましたが、封じ手頃には先手(藤井王将)良し、という状況になっていました。
2日目は逆転に次ぐ逆転でシーソーゲームに。
最後は藤井王将が粘る羽生九段を制して3勝目を挙げました。
王将戦第5局のAI評価値・形勢判断-藤井聡太vs羽生善治
今回の記事では勝敗を分けるキッカケとなったと言っていい、藤井聡太王将の勝負手を解説していきます。
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評価値が大きく振れるタイミングが何カ所かありましたが、筆者が感じた第5局の勝負所としては
1日目午後の藤井聡太王将の一手「4筋に桂馬を跳ねた手」を挙げます。
まず、AI候補手としては最善手・次善手が2筋への歩成りや飛車打ちでした。
私の見立ては2筋への歩成りが一番良いように感じた局面。
この「4筋に桂馬を跳ねた手」で評価値は―370で「後手有利」と逆転される状態になりました。
(大体40%/60%ぐらいでしょうか)
この手、激しい攻めの一手ではあるのですが、少々無理筋のようにも見えます。
角で香車を取られてしまう手もありますし、桂馬が跳ねる前にいた3筋の場所に歩を打ち込まれると
評価値としてはハッキリと逆転してしまいます。
(研究用に活用している将棋ソフトを何種類か試しましたが、最も強いと思われる水匠でも「4筋への桂跳ねは疑問手」
と表示されていました)

しかし、羽生善治九段は3筋への歩打ちを選べず、2筋への歩成りを選びました。
これで評価値は再逆転。(‐474ポイントの疑問手だった)
問題はなぜ羽生九段が3筋への歩打ちではなくこの一手を選んでしまったのか、という点です。
解説の方達も話していましたが「4筋への桂跳ねは予想外(全く考えていなかった)」という意見が聞かれました。
2時間以上の長考に沈んだことを考えると、羽生九段も予想していなかったのでしょう。
「わざわざ歩を打ち込む隙を作った」形になり、藤井王将の罠が仕掛けられているように感じたのではないでしょうか。
局面を見ると、直感で指したくなるような歩打ちなので、羽生九段が全く考慮しなかったとは思えません。
悩んだ末に候補から外したのでしょう。
AI将棋ソフトでは以下のように判定されていました。
王将戦第5局の勝負の分かれ目-藤井聡太の勝負手
藤井王将の桂馬を跳ねた一手は極めて人間らしい手で、AIには効果がなくても人間には大きな効果があったのではないでしょうか。
「あの藤井聡太がわざわざ隙を作って攻めてきたのだから、食いついては危ない」と感じるでしょうし、
そこから少しでも外した手を考えてしまうのは自然なことのように思えます。
感想戦で語られるかもしれませんが、ここが大きな勝負の分かれ目だった。
AI評価値としては疑問手/悪手でも、指しているのは人間で感情があります。
目の前でやられた時に、最善手を最善手と思えるかどうか。
安全そうな一手を選んでしまうのも、また人間vs人間の面白さではないでしょうか。

これで王将タイトル防衛に王手。ひょっとしたら、タイトル防衛後に
「勝負の流れを決めた一手」として語られる事になるかもしれません。

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