王将戦第3局で藤井聡太が勝負を決めた相手に問いかける一手を解説

王将戦第3局も藤井聡太王将が完勝!勝負を決めた相手に問いかけるような一手を解説 王将戦
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2024年王将戦の第3局は藤井聡太王将が完勝!3連勝で防衛に王手をかけました。
連続タイトル勝利記録更新に近づく、大きな勝利です。
今回の記事では、勝負を決めた相手に問いかけるような印象的な一手を解説します。

【第73期ALSOK杯王将戦第3局】主催:毎日新聞、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟
【AI評価値・形勢判断解説】(先手)菅井竜也八段vs(後手)藤井聡太王将
王将戦第3局AI評価値-藤井聡太王将vs菅井竜也八段
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【対局開始から終局までの流れ】
1日目:三間飛車では勝てない、と判断したのか、菅井八段が藤井聡太八冠とのタイトル戦で、初めて「向かい飛車」を選択します。
(振り飛車の一種で、相手の飛車に向かい合う位置に飛車を振る戦型・戦法。後手・藤井王将の居飛車に対して、菅井八段が8筋に飛車を振りました)
不慣れな戦型に誘導することで、自らの研究領域に引きずり込む戦い方に切り替えた菅井八段ですが、
藤井王将も慎重に手を進め、互角の状態を保っていきます。
そして、今回解説していく勝負を決めた一手(7四歩打)があり、その一手を境に局面が動き出します。
後手の藤井王将側に評価値が振れ始め、封じ手の時点では35%/65%程度まで差が開きました。

2日目:封じ手は多くの方が予想した7三歩。菅井八段は藤井王将の飛車を抑え込みにいきます。
藤井王将は飛車を逃がした後、敵陣に打ち込んだ角を引いて馬にして、攻防の一手で手堅く対応します。
そのまま差を広げていきます。
菅井八段は勝負手を放ち一時盛り返しますが、力及ばず第2局に続いて藤井王将が完勝。
菅井八段は3連敗で後がなくなりました。
ここからは、第3局の勝敗を分けた一手を解説していきます。
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【相手に問いかけるような一手を解説】
これは深い意味があるな、と感じたのは36手目の「7四歩打」でした。(棋譜は公式サイトでご確認ください)
王将戦第3局の棋譜

この局面、対する菅井八段は大きく分けて2つの選択肢がありました。
1つは打たれた歩を銀で取る一手。
もう1つは銀を下げて陣形を整える一手。
AI最善手/事前手は、どちらも同じぐらいの評価値でした。
王将戦第3局の勝負を決めた一手をAI評価値を参考に解説-藤井聡太八冠の絶妙手
7筋に打ち込まれた歩はタダで取れるので、当然「何か罠があるに違いない」と考えるのが普通です。
その罠を読み切った上で踏み込めるかどうか。先の先まで読まないと、指せない一手です。
私の目には「あなたはこの手の意味を読めますか?」と相手に問いかけているように感じる一手でした。

対する銀を引く一手は無難そうに見えますが、(あくまで印象として)「藤井王将の罠を読み切れていないのでは?」と
観戦者が感じてしまうような一手だったかもしれません。
菅井八段は踏み込んで、打たれた歩を銀で取る一手を選択。菅井八段らしい、強気の一手でした。

しかし、この後に藤井王将の構想力を感じる展開になっていきます。
評価値の推移を見ていくと、36手目の一手から数手後に評価値に差が出る局面になりました。
王将戦第3局の勝負を決めた一手をAI評価値を参考に解説-藤井聡太八冠の絶妙手
この局面までは互角範囲内で、ほとんど差が無い状況でした。
しかし、今回紹介した一手を境に1日目から大きな差が広がる展開になり、第2局に続いて完勝。
3局とも危なげない勝ち方で、前回の叡王戦と比べて一方的な戦いになっています。
これは藤井聡太王将の成長だけでなく、1日制と2日制の違いも大きいでしょう。
一般的に持ち時間が多い2日制の方がミスが出にくい。(実力差が出やすい)
その為、8つあるタイトルのうち2日制の竜王戦・名人戦・王位戦・王将戦の4つは、
藤井八冠から奪取するのが難しいタイトルと言えるかもしれませんね。

※第4局は2月7日・8日に行われます。
対局終了後、解説記事を執筆する予定です。

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