【王位戦第3局のAI評価値解説】勝負の決め手は4筋から敵陣に睨みを利かせていた桂馬。
藤井聡太七冠が3連勝で防衛に王手!佐々木大地七段は角換わりを受けて立ちましたが、無念の3連敗カド番に追い込まれました。
【お~いお茶杯王位戦 第3局】
主催:新聞三社連合、日本将棋連盟
【第3局のAI評価値】(先手:藤井聡太王位、後手:佐々木大地七段)
藤井王位が強い勝ち方でした。防衛に向けて大きく前進です。
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【初手からの流れ】
戦型は角換わりに。佐々木大地七段は受けて立ち、工夫を見せてる展開に。
藤井王位も積極的に攻めに出て、早い段階から仕掛ける展開に。
藤井王位は5筋に飛車を回したり、玉を囲いに入れる(8筋に入る)形となり、
いつもとは違う駒組を見せます。
1日目は「やや藤井王位がリード」する展開で終わり、2日目は佐々木七段が2時間を大きく超える大長考で
一気にペースダウン。
少しずつ藤井王位がリードを広げ、途中、一気に流れが変わる場面があり3連勝を決めました。
※その時の一手単位の評価値
この悪手と表示されている部分で他に手は無かったのかと思い、その局面で将棋AIソフトで検討していると以下のような結果に。
AI候補手の中で最善手であれば、ほとんど差がない状況でした。次善手でも大きく差が開く状況で、
実際に指されたのは3番目の候補手。大きく差が開いた場面でした。
最後は20手以上の詰将棋をキレイに決めて強さを魅せましたが、私が注目したのは終盤の寄せではなく、
中盤で出た桂馬が跳ねる一手。
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55手目に繰り出された4筋に跳ねた桂馬。この桂馬が最終盤まで敵陣を睨み続け、攻めの拠点となります。
(桂馬を守る為に打った歩とセットで、守りにも効果を発揮したかもしれません)
桂馬が取られる118手目まで、ずっと佐々木大地七段の陣地に睨みを利かせており、
この桂馬が中盤を支配していたように感じました。
終盤にかけて見せ場の多い対局だったのですが、私が印象に残ったのは4筋にいた桂馬でした。
派手さはないのですが、良いポジションを維持しており、中盤を支配する拠点になっていた。
評価値だけではわかりにくいかもしれませんが、佐々木大地七段はずっと抑え込まれていたような
印象を持っていたのではないかと推測しています。
後手側から見ると、攻めにくく守りにくい状態が続いていました。
これで藤井王位は3連勝で防衛に王手。第4局で一気に決めるのか、佐々木七段がカド番で踏み止まるか。
第4局は8月15日、16日の日程で行われます。