今回の記事は叡王戦第4局で藤井聡太叡王が防衛を決めた一手をAI評価値を参考に解説します。
藤井聡太叡王は1日3局(二度の千日手指し直し)となる大熱戦を制して防衛を決めました。
※3勝1敗でタイトル防衛、六冠を堅持しています。
主催: 不二家、日本将棋連盟
協賛: レオス・キャピタルワークス(特別協賛)、 中部電力・豊田通商・豊田自動織機・日本AMD
【叡王戦第4局の評価値】(勝負が決まった対局)
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勝負が決まったのは本日3局目。再度の相穴熊の展開で、双方ガッチリ囲う展開でした。
藤井叡王が多少リードしていたものの、まだ極端な差がなかった中で勝負を決めた奇跡の一手はこの局面。
「既に2度の対局をした消耗している極限の状況で、よくこの手が見えるな」と驚愕した局面でした。
(AI将棋ソフトでの評価値なら疲れもありませんし、正確に判断できるかもしれませんが、将棋を指しているのは人間同士。
2度の千日手を乗り越えた上で、3局目の終盤・持ち時間が短い中で正確な手を指すのは困難でしょう)
この局面で藤井叡王は「と金」で4筋の金を取らずに1五角と角を切りました。(角を捨てて玉頭から一気に攻め落とす狙い)
これは「勝負が決まったな」と感じた大きな一手。
ここで以下のように評価値にも大きな差が開きます。
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AI候補手としては4筋の金を取る手を最善手候補に挙げていたようですが、
藤井叡王は角を切って一気に切り込み勝負を決めにいきます。
もちろん、他の局面でも勝敗を分けた一手は多数ありました。
全てを紹介することはできませんが、今日の3局を観た中で、「勝負を決めたのはこの一手だったな」と感じたのが
上記で解説した1五角でした。
1日に3局目となる体力・気力勝負の中、相手の心を折る攻撃的な一手。
疲れを知らないAIではなく、「人間同士だからこそ、光り輝く一手」だったと感じました。
これで防衛を決めた藤井叡王。
火曜には名人戦第5局の前夜祭があり、ハードスケジュールが続きます。
まずは六冠を堅持。これで名人戦での最年少名人・七冠制覇に向けて一歩前進です。