藤井聡太七冠が奇跡の逆転勝利で王座戦Tベスト4進出!1分将棋で23手詰めを読み切る驚異の終盤力

王座戦2回戦-藤井聡太七冠が奇跡の逆転勝利!23手詰めを読み切った驚異の終盤力 王座戦
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王座戦挑戦者決定トーナメントで藤井聡太竜王名人が奇跡の逆転勝利!
村田顕弘六段に勝ってベスト4進出を決めました。準決勝の相手は羽生善治会長です。

71期:王座戦挑戦者決定トーナメント
主催: 日本経済新聞社、日本将棋連盟
協賛: 東海東京証券(特別協賛)

【AI評価値速報・形勢判断】(先手:村田顕弘六段/後手:藤井聡太竜王・名人)※振り駒の結果、村田六段の先手に。
王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦-藤井聡太竜王名人vs村田顕弘六段
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先手の村田六段は村田システムを採用。相掛かりに近い形から早繰り銀の形で急戦を仕掛けています。
藤井七冠も桂馬を跳ねて急戦に応じました。
序盤~中盤で藤井七冠に誤算があったのか、村田六段が評価値で大きくリード。
評価値で99%/1%と藤井七冠を追い込みます。

しかし、藤井七冠は諦めず攻めの形を作っていきます。
そしてお互い1分将棋なった後、一瞬の隙を突いて藤井聡太七冠が仕掛けました。
この「一瞬の隙」、一手前の7七桂は村田六段のミス/悪手、というわけではなく、将棋AIでも最善手として表示されました。
※瞬間的に将棋AIソフトが「藤井聡太七冠の23手詰め」を読み切れていない状況だった為、最善手として7七桂を表示。
検討を続けると、後手の23手詰め(25手詰め?)を発見⇒7七桂が最善手から外れる状況に。
その局面がこちらです。
王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦-藤井聡太竜王名人が23手詰めで奇跡の大逆転勝利を決めた盤面
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この局面で8八龍と飛車を切っていきました。詰みが見えていないと(飛車を渡す事で自分の玉が危険になる為)指せない一手です。
藤井聡太七冠は既に1分将棋に入っていましたが、ここから23手詰めを読み切り驚異の終盤力で一気に逆転!
直前まで99%/1%で負けていた状況から一瞬の隙を突いて反撃。空いた一手を効果的に使い、一気に仕留めにいきます。

この8八龍は将棋AIでもソフトによっては瞬間的に詰みが見えていない状況がありました。
(以下のように詰将棋用のエンジンなら瞬間的に詰みを発見している)
王座戦挑戦者決定トーナメント2回戦-藤井聡太竜王名人が23手詰めを決めた局面のAI評価値
この局面以前から1分将棋に入っている中で、この長い手順の詰将棋を一気に読み切れる驚異の終盤力。
序盤・中盤で多少リードされていても、藤井七冠は一気にひっくり返せる強みがあります。
そう考えると、藤井七冠への対策としては「序盤で時間を使わせて(時間の面で)リードする」という条件だけでなく、
自分自身が1分将棋にならないように、時間を余らせておく必要がある。
という条件も必要になってくるかもしれません。
例えば、上記局面で23手詰め(25手詰め?)を読み切っているなら、村田六段としても7七桂ではなく他の一手を指した可能性が高い。
この局面では村田六段も1分将棋に入っていたため、余裕がない状況だと「ギリギリの攻め手を選ぶ」よりは、
心理的に「安全な一手」「無難な一手」を選ぶことが多いでしょう。
しかし、相手がその先にある詰みを読み切ったことで発生した逆転劇でした。
時間をかければ読み切れる、というわけではありませんが、気づける可能性は高まります。
「自分で見つけられる読み・詰みなら、藤井七冠も見つけているだろう」と考え、その一手を回避する手順を探すことができる。

今考えると、上記23手詰めの前に藤井聡太七冠が6四銀から7五銀と香車を取った時点で、
「その後の詰みに香車が必要」「その先に銀が出て最後の一押しに使う」と読んでいたんでしょうね。
そうでなければ、この7五銀は指せないと思います。

「藤井聡太七冠の奇跡の大逆転勝利」でしたが、決して村田六段が大きなミスをしたわけではなく、
上記のような時間がない中での極限の心理状態で発生した「一瞬の隙」を見逃さなかった藤井七冠の強さが光った終盤でした。
特筆すべきは、そこまで藤井七冠を追い込んだ村田六段でしょう。今後の活躍が楽しみになる、素晴らしい構想力でした。

※決勝戦の詳しい解説記事。読んでいただけたら幸いです。
王座戦挑戦を決めた藤井聡太竜王・名人の絶妙手9八角を徹底解説!将棋史に残る名勝負

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