王位戦第3局は藤井聡太王位が渡辺明九段に逆転勝利!
渡辺九段は第1局・第2局に続いて藤井王位を追い詰めましたが、惜しくも勝ちを逃しました。
負けたとはいえ、渡辺九段の深い研究が伺える展開でした。
【お~いお茶杯王位戦 第3局】
主催:新聞三社連合、日本将棋連盟
【第3局のAI評価値】(先手:藤井聡太王位、後手:渡辺明九段)
藤井王位の先手で始まり、得意の角換わりに誘導します。渡辺九段も受けて立ち、早い段階で用意していた研究手を披露。
数年前に指した事がある手順ですが、前例が少なく研究範囲からは外れていた可能性が高い。
藤井王位は3時間程度の長考になり、何とか流れを渡さずに1日目を終えました。
ほぼ互角で2時間程度の差をつけたことを考慮すると、渡辺九段としては「作戦成功」と言える展開だったのではないでしょうか。
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2日目に入り、じわじわと差が開いていきます。疑問手等はなくても、少しずつ渡辺九段が指しやすい展開に。
藤井王位は離されないように、必死に食らいついていきます。
評価値が30%/70%前後の差がつき始めましたが、お互いに残り時間が少なくなってきた中で
渡辺九段にちょっとした手順前後の緩手が出ます。
その一瞬の隙を逃さないのが藤井王位。
正確な受けで形勢をひっくり返し、一気に勝勢なります。
しかし、お互いの残り時間がない状況で攻め合いが続き、一手間違えれば即逆転という緊張感のある展開が続きます。
そんな中、藤井王位の絶妙手が炸裂!
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この局面、残り時間がない中で、AI最善手に挙がっていた4筋に銀を繰り出す一手を選択。
この瞬間、「藤井王位が決めにいったな」と雰囲気から伝わってきました。
それぐらい、勝敗を左右する重要な一手。失敗すれば即逆転です。
そこからは一直線に渡辺九段を追い詰めていきました。
素晴らしい一手で、藤井王位の強い踏み込みが印象に残りました。
驚愕の終盤力、と言っていいでしょう。
対局後にファンの前で大盤解説があったのですが、渡辺九段はこのように話していました
「終盤では『なんでいつもこうなっちゃうのかな』という感じ。藤井さんの終盤はすごい手がいっぱい出てくるな、という将棋になってしまった」
その藤井王位をギリギリまで追いつめている渡辺明九段。3局とも作戦勝ちの展開に持ち込んでいるため、
藤井王位はかなり苦しめられている、と言っていいでしょう。
これで藤井王位の2勝1敗。渡辺九段は次の先手番で勝ってタイに戻したい。藤井王位がブレイクすれば、防衛に王手。
(永世王位の称号にも王手がかかる)
注目の第4局は8月19日・20日に行われます。