棋聖戦第4局で指されなかった幻の好手-藤井聡太棋聖vs佐々木大地七段

棋聖戦第4局で指されなかった幻の好手-藤井聡太棋聖vs佐々木大地七段 棋聖戦
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棋聖戦第4局で対局中に大きな話題となっていた(指されなかった)幻の好手「7三香」を紹介します。
防衛を決めた藤井聡太棋聖。AI評価値を見ると乱高下していて両者にチャンスがあった対局でした。

【第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 第4局】
対局日程:7月18日
主催:産経新聞社、日本将棋連盟

【第4局のAI評価値】(先手:佐々木大地七段、後手:藤井聡太棋聖)
棋聖戦第4局AI評価値速報-藤井聡太七冠vs佐々木大地七段
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評価値が大幅に動いた瞬間。佐々木大地七段に訪れたチャンスがありました。
それがこの局面。
棋聖戦第4局で指されなかった幻の好手-藤井聡太棋聖vs佐々木大地七段
対局後の感想戦で「ここで何かありますかね」「いやぁ・・・」と2人とも答えが出ていなかった状況ですが、
AI最善手が示していたのは「7三香打」でした。
※実際の対局では3四香打と進み、AI評価値が下記のように―2685と一気に動きました。
棋聖戦第4局で実際に佐々木大地七段が指したのは3四香打。この一手の評価値は?

渡辺明九段がツイッターで「▲73香は歩なら誰でも打つけど、そこに香車を叩くのは見たことないからなあ」と発言していましたが、
私が観ていても「これは人間だと思いつかない手では?」と感じる一手でした。
ただ、仮にこの一手を指せたとしてもその後の変化が難しく、攻めを繋げることは困難だったように思えます。
(AI最善手の読み筋を見ていると、その後の手も難しい流れだった)
細すぎる攻め筋で、残り時間の少なくなった終盤戦では現実的な手ではなかったのでしょう。
中継でAI候補手を観ていた「観る将」の方にとっては「AI最善手を指せなかったから逆転した」と感じたかもしれませんが、
上記のように非常に困難な一手でした。
(その後の手筋も最善手を指し続ける事が難しいため、仮に7三香打を指していたとしても、
結果的に評価値で逆転されていたのではないかと思います)
そう考えると、この7三香打は「実際に指されることはなかった、実現困難な幻の好手」と言えるかもしれません。
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この幻の好手が存在していた局面、AI候補手は以下のような手が表示されていました。
棋聖戦第4局で指されなかった幻の好手-AI候補手
先手優勢を維持できる唯一の手が7三香打でした。
他の手は互角/または一気に逆転してしまう状況です。
その為、この局面では佐々木大地七段も自分が優勢だとは感じていなかったかもしれませんね。
藤井聡太棋聖も、互角か、それ以上に戦えている、と感じていたのかもしれません。
だからこそ、その前に飛車が取れる状況を無視して歩を成った一手を指していたのでしょう。
こちらについては、もう1つの解説記事が参考になると思いますので、是非ご覧ください。
棋聖戦第4局で防衛を決めたのはAI超えの一手?藤井聡太の強烈な決め手を解説

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