女流順位戦のD級5回戦。全勝だった鎌田美礼女流2級が村田女流二段に敗れ4勝1敗に。
これでD級の全勝は渡辺弥生女流二段と大島綾華女流初段(5勝0敗)。
そして対局が延期となった内山あや女流初段(4勝0敗)の3名になりました。
ヒューリック杯 第3期 白玲戦・女流順位戦D級
主催:ヒューリック株式会社
【女流順位戦の評価値速報】
村田女流二段は四間飛車に構え、鎌田美礼女流2級は居飛車で天守閣美濃(囲い)に構えます。
評価値の推移を見ると、鎌田美礼女流2級は完敗したように感じますね。村田女流二段は完勝と言える状況です。
ただ、棋譜を並べてみると評価値だけでは見えてこない熱戦でした。
最後の連続王手、村田女流二段も怖さがあったのではないでしょうか。受け方を間違えれば即逆転の状況でしたので、
最後まで結果がわからない良い対局だったと思います。
(鎌田美礼女流2級は中盤で悪くしてしまったものの、最後まで諦めない姿勢が感じられました)
【広告】
【村田智穂女流二段(先手)vs鎌田美礼女流2級(後手)の勝負所】
勝負所はいくつかありましたが、筆者の目には鎌田美礼女流2級が44手目に7筋へ桂馬を跳ねた手が
流れを悪くするキッカケになったように感じます。
攻めの形を整える自然な一手なんですが、後手の鎌田美礼女流2級側の玉周辺が手薄なのもあり、
飛車を4筋に回しておくか、3筋に金を回すor金が1つ上がって一旦守りを固めるのが良かったかもしれませんね。
もう1つの勝負の分かれ目は村田智穂女流二段が47手目に7筋の歩を突いた攻撃の一手。
鎌田美礼女流2級は攻め合いに転じて8筋・飛車先の歩を進めましたが、ここは同歩と素直に応じた方が
形勢判断としては良かったように思えます。
形勢を悪くしてから鎌田美礼女流2級は粘ります。
92手目からの連続王手は圧巻。
昨年度の名局賞に選ばれた藤井聡太王将vs羽生善治九段の王将戦第2局、終盤の連続王手を彷彿とさせる攻め筋でした。
鎌田美礼女流2級、棋風としては「鋭い攻めが印象的」ですね。
過去の対局も観てきましたが、勝った対局は谷川浩司十七世名人の「光速の寄せ」を彷彿とさせる攻め筋でした。
今回、負けたとは言っても村田女流二段が受け方を間違えると99%/1%の状況から一気にひっくり返る可能性もあったので、
勝者も苦しかったのではないでしょうか。
今回の対局は、村田女流二段の経験値が勝った展開だったのでしょう。
これでD級順位戦の上位争い・昇級争いが混戦になってきました。
全勝(無敗)が3人。1敗が4人。
5勝0敗の2人が先々直接対決が待っているので、ここで全勝が1人消えます。
1敗の鎌田美礼女流2級は、踏ん張りどころ。ここで粘れれば昇級枠の4人には入れるかもしれません。
期待している女流棋士なので、今後も対局結果を分析して応援していきます。