王座戦第3局は藤井聡太王座が巧妙な罠をしかけ劣勢を跳ね返し、急転直下の大逆転勝利!
3連勝/ストレート防衛を決めました。
今回の記事では第3局の勝負所を解説していきます。
72期:王座戦第3局:2024年9月30日(月)
主催: 日本経済新聞社、日本将棋連盟
【AI評価値・形勢判断解説】(先手)永瀬拓矢九段vs(後手)藤井聡太王座
先手の永瀬九段は角換わりに誘導。受けて立つ藤井聡太王座。
お互いの研究がぶつかり合う角換わりで、正面からぶつかります。
互角の時間が長く続き、中盤を超えて夕方近くなっても互角。しかし、少しずつ永瀬九段に形勢が傾いていきます。
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残り時間は藤井王座が先に1分将棋に。永瀬九段は40分以上残していました。
AI評価値は90%を超える状況。
「これは勝負あったか」誰もがそう思った瞬間、藤井王座が勝負手を放ちます。
9六香打。この手で藤井王座は評価値を下げてしまいますが、これこそが「AIには指せない一手」と言えるのではないでしょうか。
この一手、人間の感覚だと永瀬九段が指したように「9七歩」と指すのが自然です。
1番安い駒を使って合い駒をすることで、玉頭を守ります。
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しかし、この一手が逆転を狙った藤井王座の罠でした。
この永瀬九段が指した一手、なんと―4758という驚愕のマイナス評価。(この数値は、1%/99%になるぐらいの大きな数値)
まず第一に「藤井王座の王が詰まなくなる(詰めろが外れる)」という状況になりました。
(詰める仮定で歩を使う局面があり、二歩になってしまうので詰まなくなってしまう)
ABEMAの解説陣も「ここ、歩を打つ以外にあるんですかね?」「え・え・どういうこと?」と理解が追いついていない状況に。
藤井王座に手を渡すと一気に詰められてしまう状況になり、永瀬九段は最後の攻めに転じましたが
藤井王座は読み切っていたのか1分将棋でも間違えず正確に守ります。
最後、詰ますことができない状況になり、永瀬九段が投了。
評価値のグラフを見ていただくとわかりやすいと思いますが、昨年の王座戦を思い出す逆転劇でした。
藤井王座は強敵の永瀬九段を3連勝で下し、ストレート防衛を決めました。