名人戦第5局で最年少名人と七冠を決めた一手-藤井竜王の勝因と渡辺名人の敗因

名人戦第5局で最年少名人・七冠を決めた一手-藤井竜王の勝因と渡辺名人の敗因 名人戦
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藤井壮で行われた将棋の名人戦第5局、藤井竜王が勝って最年少名人・七冠達成となり、
長く谷川浩司十七世名人が40年保持していた最年少名人の記録を塗り替えました。
今回の記事では、藤井竜王の勝因/渡辺名人の敗因となった一手を解説します。

【名人戦第5局】
対局日程:5月31日・6月1日(開催場所:藤井壮)
主催: 毎日新聞社、朝日新聞社、日本将棋連盟
※藤井竜王が4勝1敗で名人位を獲得・七冠達成。

【第5局のAI評価値】(第5局は渡辺名人が先手/藤井竜王が後手)
名人戦第5局AI評価値速報-藤井聡太竜王vs渡辺明名人
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1日目から渡辺名人が少しリードしている状況が長く続いていましたが、この一手で一気に評価値が追いつき、逆転しました。
その局面がこちらです。
名人戦第5局で最年少名人を決めた一手を解説-藤井竜王の勝因/渡辺名人の敗因
先手65%/後手35%程度で劣勢だった藤井竜王は、この少し前の局面から勝負手(4筋への角打ち)を放っていきます。
続け様に6六角と攻め立てた上記の局面が、名人戦第5局で勝負を決めた場面となりました。

ここで長考した渡辺名人は2三桂打と打ち込みます。
中継を観戦していて「自然な手は同金と角を取る手」と考えていました、渡辺名人は一気に決めに行く手を選びました。
この一手で評価値が一気に互角となり、その後藤井竜王に逆転されました。
【追記】その後、渡辺明名人が上記で解説した一手を「見えていなかった」とコメントをした事から、
対局者にも「決め手となった一手」だった事がわかります。

しかし、この一手、実はAI候補手でも最初は「最善手」に表示された手でした。
その後、しばらく検討を続けていると下記のように候補手/最善手が変わっていきます。
名人戦第5局で最年少名人を決めた一手の評価値-藤井竜王の勝因/渡辺名人の敗因
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2三桂打の評価値はマイナスになる一手と評価が下がっていきます。
AI候補手でも評価が大きく変わる難しい一手でしたが、中終盤でこのマイナスが大きかった。
藤井竜王はその隙を逃さず、一気に逆転。
最後まで油断せずに、完璧な指し回しで渡辺名人を投了に追い込みました。
途中までリードしていた展開だった事から、渡辺名人としては悔やまれる一局だったでしょう。
最後は渡辺名人の攻めが途切れてしまい、藤井竜王の反撃開始。
数手進んだところで渡辺名人が投了する展開になりました。

藤井竜王は最年少名人の記録を更新するだけでなく、羽生善治九段以来の七冠達成。
そして史上5人目の竜王名人同時保持という記録を達成しました。

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