棋聖戦第3局で披露された藤井聡太七冠の新手炸裂!
佐々木大地七段に勝利して、2勝1敗と棋聖戦のタイトル防衛に王手をかけました。
今回の記事は、藤井聡太七冠が流れを手繰り寄せた「解説陣驚愕の一手」を紹介します。
【第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 第3局】
対局日程:7月3日
主催:産経新聞社、日本将棋連盟
【第3局のAI評価値】(先手:藤井聡太棋聖、後手:佐々木大地七段)
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今回の対局、藤井棋聖・佐々木大地七段の両方に良い手がありましたが、
藤井聡太七冠の一手が凄かった。
中継コメントでも以下のような発言がありました。
【該当の手が指された場面】
☗9七桂を見た佐藤康九段が、「ひええー」と声を上げる。対局室の佐々木は、扇子で口元を覆った。
「やばいっすね。これは分かるわけないっすよ。将棋史上でない手じゃないですか? 康光さんなら浮かぶのかもしれないけど」(行方九段)
「いやいや、私、浮かばないです」(佐藤康九段)
勝又七段は、「驚いたねえ、驚いたねえ」といいながら盤面モニターを見つめている。
=中継コメントより引用=
何百年も続く将棋界の歴史の中で史上初、と表現されるぐらい驚いた一手。
私もこの一手は素直に驚き、感動しました。感覚的には「え、大丈夫なの?」と思う一手でした。
それがこの局面。
【9七桂を打った直後】
以前は「桂馬の高飛び歩の餌食」と言われていましたが、最近は桂馬を早い段階で跳ねていく手法が使われるようになりました。
しかし、それは7七桂や3七桂のように、中央寄りに跳ねる手です。
※他の駒で桂馬の弱い頭を守れるようにするため。
アマ高段者でも「9筋から歩を突かれて崩されそう」と心配になるのではないでしょうか。
少なくとも、私はそう感じます。
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【将棋AIソフトの評価値】
この一手、AI評価値は以下の判定でした。
中盤で出たこの一手で、評価値が+187に上昇(数パーセントの差)。
ここで初めて少し差がつき、そのリードを守ったまま勝利しました。
この一手、将棋界の常識を覆す一手だったかもしれませんね。
藤井聡太七冠は、ここから8筋に飛車を回し、向かい飛車の形で攻めていく展開になりました。
そこでこの9七にある桂馬が効果を発揮していきます。
飛車・銀・桂馬・歩をフル活用して8筋から攻めていく展開に、佐々木大地七段は苦労していました。
この1勝で藤井聡太七冠は棋聖戦の防衛に王手。
次は佐々木大地七段の先手となりますが、ここでフルセットに持ち込めるかどうか。
もし、佐々木大地七段が勝ってフルセットに持ち込めば、平行して行われる王位戦に明るい材料となるでしょう。
第4局で藤井七冠が防衛を決めるか、佐々木大地七段がタイに戻すか。
次の対局も注目が集まります。