藤井聡太七冠の強さの秘密?将棋AIの評価値では伝わりにくい隠れた好手-棋聖戦第1局

藤井聡太七冠の強さの秘密?将棋AIの評価値では伝わりにくい隠れた好手棋聖戦
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棋聖戦は第1局から大熱戦!今回は藤井聡太棋聖の強さが垣間見えた、「目立たないけど、強さを感じた一手」を解説します。
新名人となった初戦を勝って、棋聖戦の防衛に向けて幸先の良いスタートを切りました。

【第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 第1局】
対局日程:6月5日(開催場所:ベトナム)
主催:産経新聞社、日本将棋連盟

【第1局のAI評価値】(第1局は振り駒の結果、藤井聡太棋聖の先手に)
棋聖戦第1局AI評価値速報-藤井聡太七冠vs佐々木大地七段
「誰が見ても好手・妙手」のような一手は「派手・見栄えが良い手」(大駒を切って、攻め込む一手等)が多いのですが、
今回は地味に効果のあった一手を紹介します。
こういう一手を指せることが、藤井聡太棋聖の強さの秘密なのかもしれません。
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藤井棋聖の指した一手の中で一番印象に残っているのが、この一手でした。
目立たない一手ではないかな・・・と思います。それは6二金と1つ金が相手の「王」に寄った手。
AI候補手としても最善手に挙げられた一手でした。
藤井聡太七冠の強さの秘密?棋聖戦第1局で勝負を決めた隠れた好手
この局面では、他にも色々と選択肢があります。
例えば2筋の歩を突いて飛車先から攻めていく形。佐々木大地七段の「王」は先手側から見て左側を制圧されていますし、
上部に逃げるのも難しい状況。
そうすると、右辺への展開が考えられますが、そこを先に潰しに行く一手です。
後は3筋に銀が上がって飛車取りと進めるのも効果がありそうです。
直前の一手で佐々木大地七段が「飛車の後ろに桂馬を打った」ことから指しにくい手かもしれませんが、
3筋に銀が上がる⇒桂馬で取る⇒金で取り返す(この一手が飛車とり)⇒飛車が1つ下がって逃げる⇒飛車の頭に歩を打って飛車を取れます。
相手の罠が仕掛けられていそうなのでこの手は指しにくいかもしれませんが、いくつか候補手がある中で
「目立たないけど、効果の高い一手」が6二金だったと思います。
AI候補手として最善手に挙げられるのもわかる一手ですが、人間心理としては「早く勝ちたい」という焦りもありますし、
攻めるのに時間が掛かりそうな一手よりは、「一気に勝負を決められそうな一手」を探したくなる気持ちがあると思います。
そういった迷う局面で、冷静に最善手を指せることに強さを感じました。
(AI最善手を指したから強い、という意味合いではなく、様々な手があり迷う局面で
目立たないかもしれないが、「確実に勝利に近づく一手」(隠れた好手)を指せるところに強さを感じました)
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この一手で「次に「6三と」とジワジワと攻めていく一手」が見えており、佐々木大地七段としては怖い一手。
上部には逃げられない、(先手から見て)右辺は壁銀になっていて逃げ場所が少ない。
更には駒交換等が発生した際に、5三の地点から攻められて一気に終わる可能性がある。
「次の一手」で出題されそうな目立つ一手ではありませんが、「たった1つ金が動くだけで、目立たないけど効果の高い一手」を
指せる事が、最終的な勝利に繋がっているように感じます。
これが、藤井聡太棋聖の強さの秘密と言えるかもしれませんね。

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