将棋AIと人間の関わり方-将棋界はどう変わった?戦う相手ではなく活用する時代へ

将棋四段免状_藤井聡太竜王の署名入り その他
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今回の記事は「将棋AIと人間の関わり方」をテーマに書いていきます。
-将棋界はどう変わった?戦う相手ではなく活用する時代へ-

まず、将棋を指す方も観る将の方も含めて、全ての将棋ファンの方が触れていると言っていいのが
ABEMAの将棋中継やNHK杯等のTV中継を中心とした「AIを活用した評価値」です。
藤井聡太竜王の活躍で注目されるようになった将棋界ですが、その活躍を観戦するファンにとっても
AIの評価値は役立つものでした。

将棋のルールがよくわからない方でも形勢判断がわかることで、将棋ファンの拡大に一役買いました。
例えば、サッカーや野球なら「ルールはわからなくても点数が表示されているので、どちらが勝っているのかわかりやすい」
という観戦するファンの視点で「わかりやすさ」がハッキリしています。
しかし、将棋はルールを覚える事が難しく、ある程度の棋力(強さ)がないとプロの先生方(棋士)同士の対局は
「どちらが優勢なのか?」というのが非常にわかりにくい、という課題がありました。
「わからない事が当たり前」なので、将棋に携わる方もあまり気にしてこなかった部分もあるでしょう。
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将棋のルールを知っていて、初段以上の強さを持った方ぐらいにならないと、
なかなかプロ(棋士)の方が指す将棋の形勢判断は正しくわかりません。
一部の人しか楽しめない競技では、どうしてもファン層が限られてしまい衰退していく危険性がありました。
AI「評価値」の普及は、動きの少ない将棋において形勢判断を正確に行える重要な要素を占めるようになっています。
コンピューター将棋と将棋界の関わりは、当初は「戦う相手」として「将棋でプロ/人間に勝てるのか?」
という要素がメインになり注目されていましたが、現役名人が負けたことで1つの答えが出ました。
AIは制限したり戦う相手ではなく、活用する時代へ変わった瞬間だったと思います。
研究にAI将棋ソフトを使う事が定着していき、同時に観戦する方にわかりやすいように評価値が表示されるようになっていきます。

当初、将棋界としては「人間がコンピューターに勝っても当然と思われるかもしれないが、
負ければプロ棋士の価値が下がるのではないか」
というデメリットばかりが感じられた(リスクしかない)でしょうから、なかなか戦いを受け入れるのが難しかったと思います。
しかし、戦って1つの結果が出た事で、ファンが離れることはありませんでした。
例えば「コンピューターの方が、AIの方が強いならAI同士の対局を観ればいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、
長く将棋という競技に触れてきた1将棋ファンとしては、そこに興味はあっても「お金を払うまでの面白さ」を感じませんでした。
コンテンツとしては人間vs人間が面白い。これはどの競技でもそうだと思いますが、人間は悩み・迷い・間違えるから、
という要素がある事も影響しているのではないかと推測しています。
(あの藤井竜王でさえ、先日の棋王戦では1分将棋の段階で詰みを逃して負けていますので)
最後までどうなるかわからない、ハラハラドキドキ感があるからこそ、競技としての魅力が生まれるのでしょう。
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また、棋士にとってもAIの出現により変化を求められるようになりました。
今は研究にAI将棋ソフトを使わない人は、ほとんどいないでしょう。
特に序盤研究においては過去の定跡を覆すような手が多数発見されており、ここ10年程度の間に大きな変化がありました。
この記事を書いている私自身も「小学生・中学生・高校生の頃に覚えた将棋」と「現代の将棋」は大きく変わって驚いています。
社会人になってあまり時間をとれなくなったことから、少しずつ将棋から離れていった、という事情はあるものの、
「将棋内容にマンネリを感じていた」というのも正直な感想です。
しばらく将棋タイトルの結果ぐらいしか見なくなっていたのですが、Bonanza(ボナンザ)の出現でコンピュータ将棋に興味を持ち、
今までの将棋感覚では歯が立たないことに驚きました。
(幸い、PC知識があったので、AI将棋ソフトの導入はスムーズにできました)
今までの定跡など関係ないな、と思える新しい将棋を感じていたところに、コンピュータ将棋vsプロ棋士がニュースなるように。
私自身はコンピュータ将棋の強さを試して実感していたので「上位棋士だとしても負けるのは時間の問題」と覚悟していましたが、
それでも実際に負ける姿を見るのは衝撃的でした。
その後、藤井聡太先生の出現で将棋を観る&指すことへの興味が再燃。
大きかったのは「人間には指せないような手」「今までの常識では考えらえないような手」、
そして「AI超えとも言われる魅力的な一手」を指す藤井聡太竜王の棋譜を観て驚き、感動して研究・勉強を再開。
かなり久しぶりに「将棋の面白さ」を感じた瞬間でした。
この感覚は、谷川浩司十七世名人の「光速の寄せ」を観て驚き・感動した感覚に似ています。
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※現在は様々なAI将棋ソフトを活用しますが、活用のしやすさと強さ・精度の良さを考慮して水匠を使わせていただいています。
ただ、ある程度パソコンの知識を必要とする為、PCスキルに自信のない方は将棋ゲームとして販売している
激指し等のソフトを活用するのもいいかもしれませんね。

若い時代は千駄ヶ谷の将棋会館で対局することが多かったのですが、仕事の負担等からなかなか1日がかりで
将棋を指しに行くのが負担になり、主にAI将棋ソフトの活用で研究するようになりました。
今は将棋タイトル戦だけでなく順位戦なども中継してくれる事が多いですし、上位棋士同士の最先端の対局が観られます。
観ながらAI将棋ソフトで棋譜解析も行えるので、一石二鳥。
こうして取り組んでいるうちに、「以前の自分より強くなっている感じがする」と実感するようになってきました。
不思議なもので、離れていた時間が長いはずなのに、取り組み方を変えただけで、まだまだ成長できるんですよね。
AI将棋ソフトの出現は、「観る将」や「初心者」の方だけでなく、古参ファンにも新しい楽しみ方や学び方を提供してくれました。

私自身は年齢が高くなったとしても、成長できることを実感しています。
羽生善治九段が復活して王将戦のタイトル戦に出て活躍されている姿を観て驚いた方も多いと思いますが、
同じように「昔より強くなった」と実感している1将棋ファンとしては、羽生善治九段の復活劇は驚きはありませんでした。
ピーク時期と比べて衰えた部分はあると思いますが、それ以上のものをプラスできていれば
「七冠を制覇していた当時とは違った強さを身に着けた」と言えるかもしれませんね。

仕事としても同様で、ChatGPTに代表されるようなAIの進化が止まりません。
今後は資料作成等も活用されるようになるでしょう。
将棋界では10以上前からAIの台頭があり、一足先に大きな改革が起こりました。
これからは仕事や教育現場でも「AIを上手く活用できるスキル」が求められるようになっていくと考えています。
初期段階では制限する話が多く出ると思われますが、それと同時に共存していく道/上手く活用していく道のスキルを
身に着けていく必要があるので、その点も含めて「AI活用法を教えていく」ぐらいの感覚が必要になってくるのではないかと思います。

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